コミュニティ運営

スクラムひろしまロゴ

【開催報告】第1回 経営者向けイベント「環境・エネルギー対策をビジネスチャンスに ゼロから始める!新事業のつくり方セミナー」を開催しました

第1回 経営者向けイベント
(福山開催)

全2回で環境・エネルギー分野のビジネスプラン作りに取り組む経営者向けイベントの初回、福山開催の部を8月28日、福山商工会議所(福山市西町)で開催しました。 国産杉を使った木製品の製造を手掛ける株式会社WOODPROの中本敬章社長を講師に迎え、廃棄されていた杉足場板のアップサイクル事業についてお話しいただきました。後半は参加企業にワークショップで自社の環境・エネルギーに関する課題とじっくり向き合っていただきました。
当日は株式会社アスコン、本四バス開発株式会社など10社から11人の企業の皆さまに参加いただきました。

【講演】
「WOODPROのサステナブルな取り組み」 ~1999年、使い古した杉足場板のアップサイクルチャレンジが始まった~ 株式会社WOODPRO 代表取締役社長 中本 敬章氏

廿日市市で杉材を使った木製品メーカーを営むWOODPRO。1987年の創業以来、杉足場板の販売やリースを手掛けてきました。足場板は、工事現場の作業員が高所で作業をする際に足元に敷く材木です。金属製の足場が一般的ですが、高速道路や橋梁、神社仏閣などの建設現場では杉の足場板が使われています。同社では使い古して安全基準を満たさなくなった足場板を回収し、当初は不良材として廃棄してきました。

現在、その廃材を内装建材やインテリア商品として、木材として使えないものは工場などの燃料として、年間約1000トンを再利用しています。中本氏の父である先代社長が山積みの廃材を見て「もったいない」と繰り返していたことがヒントとなったそうです。杉は柔らかく傷がつきやすいため、建材や家具には不向きだと考えられてきました。しかし使い古した足場板は、経年変化した杉が持つ独自の風合いや温かみを生かした製品に生まれ変わりました。国産杉を使うことで、木材の地産地消にもつながっています。「杉足場板の販売、リース、買取りという仕組みを持つ私たちだからできる唯一無二の事業です」と中本氏。
不要になったものに独自の工夫を加えることで新たな価値を創り出す「アップサイクル」を見事に体現したWOODPROですが、ここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。

1997年、中本氏が同社に入社してほどなく、台風の被害で工場が閉鎖、建材事業撤退を余儀なくされ経営危機に陥りました。これを機に新規事業として木製エクステリア材の生産に踏み切り、まだネット通販が普及していない2000年に大手ECサイトに出店しました。

翌年、法律で野焼きが禁止され、それまで無償で焼却していた杉足場板が有償処分の対象になると、回収した足場板を削りリサイクルウッドとして販売。ネット通販の普及とともに自社の足場板だけでは供給が間に合わなくなり、全国の同業者の廃材買取りシステムを始動しました。廃材の処分に頭を抱えていた同業者からは大変喜ばれたといいます。「貴重な原材料を安定的、継続的に仕入れるために、タダで引き取るのではなく買い取ることに意味があります。近隣地域でバイオマス工場の建設が進んでいたので、そちらに持っていかれないようにするねらいもありました」(中本氏)

08年頃には、杉足場板が輸入品より安価で買えると職人の間で話題となり、問い合わせが急増しました。リーマンショックのさなかでしたが、この時期に杉足場板のPRに注力したといいます。その後、収益の柱であった大手建材メーカーからの下請け事業が廃止に追い込ましたが、中本氏は動じませんでした。いずれそんな時が来るだろうと覚悟と準備をしていたのです。これを機に下請け工場を自社の家具製造工場へ一新。下請けから完全自立を図りました。

次々に押し寄せる困難を新たなチャンスに変えてきた中本氏。「コロナ禍、ウッドショック、物価高、円安などのような社会情勢の変化は大きな転機となります。困りごとは契機と前向きに捉えることが大切です」と強調しました。
洗練されたプロダクトデザインについて会場から質問が飛ぶと、「私たちにデザイン力があったわけではありません。デザインウィークなどの展示会場には感度の高いクリエイターやデザイナーの方がたくさんいらっしゃいます。私たちも出展して素材としての足場板の可能性を見ていただいたところ、いろんな企業やメーカーから声をかけていただきました。まずは発信して知ってもらうことが大切だと思います」と回答されました。

【ワークショップ】

後半のワークショップでは、参加企業にワークシートへの記入を進めていただきました。環境・エネルギーに関する業界共通の課題、自社でできそうなこと、自社の強みや課題、目指す姿などについて、当協議会のメンターやスタッフによるヒアリングを交えながら言語化していきました。

最後に当協議会会長の叡啓大学教授・早田吉伸氏が、「今回は皆様に自社の棚卸をしていただきました。そこからいかに新しい価値を生み出せるかという部分を私たちもサポートしていきたいと思います。ぜひ1月に開催する事業創出ワークショップに向けて社内でアイデアを固めて、環境・エネルギー分野で新たなビジネスモデルの構築を目指していただきたいと思います」とあいさつ。

9月3日には、広島市でも同様の経営者向けイベントを開催し、2025年1月28日のイベントではワークショップを通じてビジネスプランの構築を目指してもらいます。

ひろしま環境ビジネス推進協議会とは

広島県が2012年4月に設立した協議会です。企業間連携の活発化や海外展開の促進等を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するビジネスをグローバルに展開できる企業群を育成することを目的としています。
協議会の活動の一環で取り組むコミュニティー組織 「SCRUM HIROSHIMA」では、多様なステークホルダーがつながり、新たなビジネスの可能性を探索いただく場として、定期的なセミナーや、交流イベントを開催します。

【役  員】
会長 早田 吉伸(叡啓大学 ソーシャルシステムデザイン学部 教授)
【事 務 局】
広島県商工労働局イノベーション推進チーム
【会員一覧】
ひろしま環境ビジネス推進協議会・参加企業一覧
【協議会サイト】
https://hiroshima-greenocean.jp/


ニュース一覧 | TOPに戻る