【講演】
「WOODPROのサステナブルな取り組み」
~1999年、使い古した杉足場板のアップサイクルチャレンジが始まった~
株式会社WOODPRO 代表取締役社長 中本 敬章氏
廿日市市で杉材を使った木製品メーカーを営むWOODPRO。1987年の創業以来、杉足場板の販売やリースを手掛けてきました。足場板は、工事現場の作業員が高所で作業をする際に足元に敷く材木です。金属製の足場が一般的ですが、高速道路や橋梁、神社仏閣などの建設現場では杉の足場板が使われています。同社では使い古して安全基準を満たさなくなった足場板を回収し、当初は不良材として廃棄してきました。
現在、その廃材を内装建材やインテリア商品として、木材として使えないものは工場などの燃料として、年間約1000トンを再利用しています。中本氏の父である先代社長が山積みの廃材を見て「もったいない」と繰り返していたことがヒントとなったそうです。杉は柔らかく傷がつきやすいため、建材や家具には不向きだと考えられてきました。しかし使い古した足場板は、経年変化した杉が持つ独自の風合いや温かみを生かした製品に生まれ変わりました。国産杉を使うことで、木材の地産地消にもつながっています。「杉足場板の販売、リース、買取りという仕組みを持つ私たちだからできる唯一無二の事業です」と中本氏。
不要になったものに独自の工夫を加えることで新たな価値を創り出す「アップサイクル」を見事に体現したWOODPROですが、ここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。