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【開催報告】第1回 オープンセミナー「サステナブルな生産と消費~廃棄ゼロの仕組みづくり~」を開催しました

第1回 「SCRUM HIROSHIMA」セミナー

本年度初のオープンイベントを7月30日、イノベーション・ハブ・ひろしまCamps(広島市中区)で開催しました。
前半の講演では「サステナブルな生産と消費~廃棄ゼロの仕組みづくり~」と題し、店頭で回収した衣類のリサイクル、リユースに注力する青山商事株式会社の長谷部道丈氏、バイオマス処理設備の導入で動植物性残渣の排出ゼロを目指したデリカウイング株式会社の岡坂和政氏に自社の取り組みについてご紹介いただきました。
当日はアヲハタ株式会社、株式会社東洋シートなどから会場21人、オンライン25人に出席いただきました。後半のグループワークでは参加者の皆様に自社の取り組みや課題を挙げていただき、基調講演の事例を参考にしながら事業アイデアなどを出し合いました。

【講演1】
「終わらない服をつくろう。」 青山商事株式会社 長谷部 道丈氏

福山市に本社を置き、全国に紳士服販売チェーン「洋服の青山」を展開する青山商事株式会社。まだ「サステナビリティ」「EGS」といった言葉がなかった98年頃に、不要な衣類を回収する下取りサービスを全店舗で開始しています。20年にはエコマーク認定を取得し、エコマークアワード2020「優秀賞&エコ・オブ・ザ・イヤー」をW受賞。全店舗で再生材を使ったごみ袋への切り替え、使えなくなったプラスチックハンガーのペレット化、植林活動などの環境対策に取り組んできました。

創業60年を迎えた昨年には、全店にリサイクリングボックス「WEAR SHiFT(ウエアシフト)」を設置し、年間350トンの衣類を回収。専門業者に分別を委託し、古着として活用するほか、活用できなくなった衣類は素材として再生するサイクルを確立しました。ウール素材の衣類は毛布へ再生して災害のあった自治体に寄贈するなど、社会貢献にもつなげています。

「本社と全店舗が一枚岩となって取り組むことが大切です。店単独、本社単独で取り組んでいた頃は、理解を得られず苦労することもありました」と長谷部氏。
同社は、環境や社会貢献に対する考え方を明確に表明し、プレスリリースなどを通じて広く発信することで社内外に取り組みの輪を広げていきました。「SDGsやESGを扱うメディアも増えています。それがインターネットのニュースなどに転載されれば思わぬ企業から声がかかったり、テレビ取材の依頼があったりする。社会から反響や評価を得ることで社員たちも協力的になり、新たなビジネスの創出もしやすくなります。」(長谷部氏)

またエシカル消費について、アンケートで60代以上の消費者の多くは価格が上がっても購入すると答えた一方、若年層はSDGs教育を受けているにもかかわらず購入に消極的であることに言及。「消費者の意識を変えていくには、他社との協業が不可欠です。衣食住にかかわる企業が手を取り合い環境への取り組みを進めていくことで、5年後、10年後にはそれが当たり前になる。消費者に受け入れられるよう、慎重に取り組んでいきたいと思います」と前向きな展望で締めていただきました。

【講演2】
「動植物性残渣排出ゼロ化のためにバイオマス処理設備」の導入 デリカウイング株式会社 岡坂 和政氏

昨年で創業50年を迎えたデリカウイング株式会社は、県内に4つの工場を持ち、大手コンビニエンスストアに納入する弁当や惣菜、デザートなどを製造しています。今回は、動植物性残渣をメタン発酵処理することで、工場からの残渣排出量をゼロに抑える取り組みについてお話しいただきました。
これまで、製造工程で出た食材の切れ端や野菜の芯などの残渣は処分業者に委託してたい肥化していましたが、たい肥化処理能力を超えた分は埋め立て処理をしなくてはなりません。山口県の総合建設会社・コプロスから提案があり、22年、東広島工場に49KW発電のバイオマスプラントを新設しました。

前処理装置で破砕・希釈した残渣がメタン発酵槽でバイオガスを生成し、コージェネレーションシステムで電気と熱に変換される仕組みです。これにより東広島工場で発生した残渣の工場外への排出ゼロを実現しました。さらにバイオマス発電で年間約200トンのCO2を削減。余剰電力は売電し、設備投資回収の原資に回しました。
東広島工場以外の3工場には建設場所などの都合上バイオマスプラントを建設することができませんでしたが、今回成功事例を作ったことで、今後他工場の建て替え時などに併設を視野に入れることができそうです。メーカーとも話し合い、設備の小型化などを検討しています。

また「事業には補助金を最大限活用しました」と岡坂氏。今回の事業は、令和3年度の広島県廃棄物排出抑制・リサイクル施設整備費等補助金に採択されています。今後はプラスチック対策についても、補助金を活用しながら検討を進めていく考えです。
講演後の質疑応答では、補助金の申請方法や固液分離後の液体の化学処理にかかるコスト、設備投資回収の状況など専門的な領域に踏み込んだ質問がオンラインでも多く飛び交いました。

【グループワーク】

グループワークでは、総合人材サービスの株式会社せとうち共創パートナーズ様が「パンフレットなどの紙媒体を多く扱うため、QRコードでデジタルパンフレットに誘導するなどして紙ごみを減らす工夫をしています」と自社の取り組みを発表してくださいました。オンライン参加者からもペーパーレス化に取り組んでいるという意見が多く寄せられました。

廃棄物から固形燃料を製造する株式会社金本商会様は、加工したカキ殻をスーツの素材に使用した青山商事様の取り組みを挙げ、「当社でもカキ殻を脱塩素剤として使用することを検討中です」とお話しいただきました。また同じテーブル内に、竹を燃やしてバイオマス燃料を作る研究を進めている企業様もあり、「竹は燃やすと塩素が発生するので、こちらもカキ殻を有効利用できるのでは」と盛り上がったそうです。

今回は多くのご参加、ご視聴ありがとうございました。
次回は8月28日(水)に福山市、9月3日(火)に広島市で経営者限定イベントを開催します。

参加企業募集中!経営者限定セミナーのご案内

第1回 経営者向けイベント 「環境・エネルギー対策をビジネスチャンスに ゼロから始める!新事業のつくり方セミナー」福山開催 日 程:2024年8月28 日(水)15時〜17時(14時30分開場)
詳しくはこちらをご覧ください
https://hiroshima-greenocean.jp/scrum6/20240828.html
第1回 経営者向けイベント 「環境・エネルギー対策をビジネスチャンスに ゼロから始める!新事業のつくり方セミナー」広島開催 日 程:2024年9月3 日(火)15時〜17時(14時30分開場)
詳しくはこちらをご覧ください
https://hiroshima-greenocean.jp/scrum6/20240903.html
ひろしま環境ビジネス推進協議会とは

広島県が2012年4月に設立した協議会です。企業間連携の活発化や海外展開の促進等を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するビジネスをグローバルに展開できる企業群を育成することを目的としています。
協議会の活動の一環で取り組むコミュニティー組織 「SCRUM HIROSHIMA」では、多様なステークホルダーがつながり、新たなビジネスの可能性を探索いただく場として、定期的なセミナーや、交流イベントを開催します。

【役  員】
会長 早田 吉伸(叡啓大学 ソーシャルシステムデザイン学部 教授)
【事 務 局】
広島県商工労働局イノベーション推進チーム
【会員一覧】
ひろしま環境ビジネス推進協議会・参加企業一覧
【協議会サイト】
https://hiroshima-greenocean.jp/


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