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【開催報告】「グリーンモビリティ最前線
~100年に1度の変革期をビジネスチャンスに~」
第10回セミナーを開催しました
 企業間交流を深めるコミュニティイベント(第10回)を12月19日、広島市中区のイノベーション・ハブ・ひろしまCampsで開催しました。今回のテーマは「グリーンモビリティ最前線~100年に1度の変革期をビジネスチャンスに~」。シンクタンク・株式会社野村総合研究所の安江夏也氏、メーカー・日産自動車株式会社の柿本浩氏、電気自動車用エネルギーインフラのスタートアップ・株式会社パワーウェーブの阿部晋士氏が、モビリティ変革期の事業展開やビジネスチャンスなどについて講演されました。
 カネマサ製作株式会社、中国陸運株式会社、広島バス株式会社、株式会社モルテンなどから、会場とオンラインで31名の皆さまに参加いただきました。ご参加、ご視聴、ありがとうございました。

【講演1】 「旅客・貨物輸送サービスにおける事業機会(2030年ごろ)」
株式会社野村総合研究所 サステナビリティ事業コンサルティング部 安江 夏也氏
 株式会社野村総合研究所の安江氏は、旅客・貨物輸送分野で、長距離・短距離に対応したカーボンニュートラル(CN)実現の取り組みやビジネスチャンスについて話されました。
 国内のCO2の排出量で運輸部門が占める割合は約19%。そのうち自動車の割合が約86%を占めていることから、自動車のCNへの取り組みは欠かせない状況で、「ガソリンなど化石燃料にかわる合成燃料の研究が進んでいるものの、まだ時間がかかるため、電動化の流れが主流になると思われる」と安江氏。CO2排出量抑制策では、工場から排出されるCO2を回収して地中へ埋めるCCSなどの事例も示されました。

 続いて旅客・貨物輸送サービスについて解説。旅客分野では、航空機は部分的な電動化や水素航空機が出るのが2050年ごろといわれ、「CNの視点から国内移動などは航空機が減り、鉄道が増える可能性があります」。そのほか、公共交通機関やシェアモビリティサービスなどを集めたモビリティハブの設置といった、乗り継ぎや乗り換えをスムーズにする事例なども示され、これからの街作りという視点で新たなビジネスチャンスがあると話されました。
 物流分野では、トラック類はエンジン車、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)が中心となり、短距離や静音性が求められるところはEV、長距離や重量輸送はFCVが今後の傾向になることを紹介。さらに「物流業界では荷主からの要請として、QCD(品質・コスト・納期)に加えてCNの視点も求められてくる」と安江氏。「車両を全てEVなどに置き換えるのは50年の時点では難しい。受配送の共同化など、現時点のオペレーションを工夫して、事業全体で排出量を減らしていく考え方も必要です」と対応策なども紹介されました。

【講演2】 「電気自動車(EV)による脱炭素化への貢献」
日産自動車株式会社 エリアパフォーマンスマネージャー 柿本 浩 氏
 日産自動車株式会社は1947年、戦後で不足していたガソリンではなく水力発電で豊富だった電気を生かそうと電気自動車(EV)第1号「たま電気自動車」を開発。「2010年に量産型EVリーフを発売し、現在は3車種を販売。EV販売台数はグローバル累計100万台で、国内でも少しずつ伸ばしています」と柿本氏。国内の自動車に占めるEVの割合は直近で3.6%という状況ですが、政府は2030年代半ばまでに新車販売を全てEV化し、現在3万基の充電インフラを30万基に増やす方針や補助金などの施策もあると、EV普及への流れが始まっていることを説明されました。EV普及に伴う廃蓄電池についても、リユース、リサイクルなどの活用例を紹介されました。

 自然エネルギーを生かしてEVを使うライフスタイルとして、自宅の太陽光発電で充電した同社のEVリーフ1台で一般家庭の5日分の電力を賄うことができることや、太陽光発電で余った電力をリーフに蓄電して、夜間に足りなくなる電力をリーフから供給することで、電力を平準化するエネルギーマネジメントにも活用できることを紹介。
また、EVの活用で社会課題に取り組む同社の「ブルースイッチ」の活動について、現在約240の自治体、民間企業と提携、パートナーシップを結び、災害時の電気供給や環境啓発への参加などの取組事例を紹介。「1社ではできないことを、いろいろな団体と協力することで、さまざまな課題が解決できる。事業化のアイデアとして参考にしてほしい」と話されました。

【講演3】 「ワイヤレス給電でモビリティに動き続ける力を」
株式会社パワーウェーブ 代表取締役 阿部 晋士 氏
 株式会社パワーウェーブは、電動モビリティの新しいワイヤレス充電システムを開発している大学発ベンチャー。同社の充電システムは、道路に送電用の板を埋め込み、電気自動車(EV)のタイヤ側に受電装置を取り付けて、走りながら無線で充電できる「電界結合方式」という非接触型の給電システムの事業化に取り組んでいます。「EVが普及するためのボトルネックはバッテリーです。走行距離を伸ばすためには大容量が必要ですが重量が大きくなる。軽量で大容量にすると価格が高くなる。これを給電方法の改革で抜本的に解決することを考えました」と阿部社長。

この方式では、例えば高速道路に給電システムを敷設すれば、市街地走行の最低限のバッテリーで長距離を走ることも可能になるため、EVの貨物自動車が技術的に実現可能になります。「EVはバッテリーが大きなコスト要因のため、それを小さくすることができれば車体価格も抑えられて、普及促進につながると考えています」。
 また新事業創出について、「モビリティ分野で新事業創出を考えたとき、まず多くのモビリティが活躍する未来を考え、それを実現するために裏でどのような課題状況があるかを考えました。そうした夢と現実の間を埋めるところに新しい事業ができるのではないかと思います」と話されました。

次回は2024年1月23日(火)に経営者向けセミナー 「取引所トップが語る!環境経営の潮流とビジネスチャンス」を開催します!
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