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【開催報告】「新事業に挑む経営者3人から
“組織づくり”の本質を学ぶ」
第4回セミナーを開催しました
 企業間交流を深めるコミュニティイベント(第4回)を7月25日、広島市中区のイノベーション・ハブ・ひろしまCampsで開催しました。今回は「組織づくりの本質~新事業に挑む経営者3人に聞く~」がテーマ。テラスホールディングス株式会社の桑原明夫社長、オオアサ電子株式会社の長田克司社長、株式会社EVENTOSの川中英章社長による事業紹介と、オープンイノベーション事業を手掛ける株式会社eiicon、村田宗一郎をファシリテーターに、トークセッションが行われました。
 株式会社石崎ホールディングス、三共ポリエチレン株式会社、株式会社バルコム、株式会社広島銀行など25社の皆さまに参加いただき、盛況のうちに終了しました。ご来場ありがとうございました。

【事業紹介1】 大規模解体で県内最大手に成長
無印良品の家、飲食など新事業加速
テラスホールディングス株式会社・株式会社桑原組 代表取締役 桑原 明夫 氏  リーマンショック翌年の2009年に社長に事業を承継した桑原社長。「この年、売上がおおよそ半分に落ち込みました」。建築業の不安定さもあり、「第二の創業だ」と一念発起し、経営理念や、業務の見直しを断行。単なる解体業だけではない、ワンストップ更地化サービスを開始し、実績を伸ばしてきたそうです。22年に持ち株会社化し、街づくりを大きなテーマとして再生~創造~暮らし~集うの「ビジョンループ」を作り、建築業の枠を超えて継続的に事業を進められる体制をつくりました。近年は、JALチャーター便で日本列島遊覧飛行、「ビームスウラマルシェ」で飲食販売に挑戦するなどの事業も展開。「機動力を持ち、自ら新しいものを創出し、それによって社員の成長を促しています」と紹介されました。

【事業紹介2】 部品下請けが高級オーディオメーカーへ
優秀な人材採用ではなく、人を育てる経営を推進
オオアサ電子株式会社 代表取締役社長 長田 克司 氏  現在の北広島町に26歳で創業した長田社長。当初、液晶パネルの製造を中心にメーカーの下請けとして事業を展開し、「世界各国の人々が、北広島町まで来ていました」と振り返られます。ところがリーマンショック時に、契約更新を断られ、危機に立たされます。ここで自社の特徴と強みを再分析し、技術力と品質で新製品開発に挑み、下請けから開発提案型企業へ変わることを決意。現在、自社ブランドの無指向性スピーカー、3Dパネル事業、セラミック事業まで手がけるようになりました。「スピーカーは着実に売り上げを伸ばし、事業の柱になっている。以前、宇宙に持っていこうというプロジェクトもあり、今後も力を入れていく」と覚悟を語ってくださいました。

【事業紹介3】 若手の活躍を促し、『食農ビジネス』の確立
飲食業で県内唯一の地域未来牽引企業
株式会社EVENTOS 代表取締役 川中 英章 氏  飲食物小売業を営み、立食ビュッフェデリバリーを専業としたため、コロナ禍、飲食物を提供する機会が激減し、売上が前月比で95%ダウンという危機に陥ったという同社。内部留保を吐き出し、借入を起こして、危機を脱出。安佐南区沼田町吉山で、レストランを備えた地域の食の発信拠点「Oishï吉山」を拠点に、農家からの持ち込み野菜を全量買い取るなど、「地域に必要とされるお店を」築いてきたそうです。
 続いて、農場でのウエディング事業、有福温泉(島根県)の宿と連携したレストラン・お土産ショップ、安佐北区JR狩留家駅の列車を利用した宿泊施設など「食を通じた地域活性化業にも携わっていきます」と川中社長。

【トークセッション】 ファシリテーター:株式会社eiicon執行役員 村田 宗一郎 氏 ●新事業に携わる人数や、任せられる社員像とは? 桑原: 経営戦略部と経営企画部を設けており、新規事業に携わる人は7、8名ですが、アルバイトを入れると50名位になります。会社の風土づくりが一番大事で、入社したいと思ってもらえる会社にするということです。

長田:120名社員がいますが、時代の変化も早い中、全て新製品開発なので新事業になります。チームごとで「知恵、工夫、協力、協調」をテーマに開発に取組んでいます。世代の違う若者には私の話し言葉では通じません。ところが、上司を入れて話すと分かりあえて、新製品を完成させてしまうだけの能力もあります。

川中:従業員は51名で、立候補制で新規事業を進めます。スタッフの5分の4位が新事業に携っています。新卒採用が殆どで、過去の常識に囚われずに挑戦してくれています。新事業には、社内加点制度を満たした人が、立候補できる制度にしています。 ●新事業のための組織化や、風土醸成のため意識していることは? 桑原:3年前に社内報を面白くしたいと話してきた女性社員2名がいました。即採用し、かなり評判がいいです。やはり、仕事は楽しむことが大事ですね。仕事時間の中の1、2割は成長のための時間に充て、新事業に繋がるよう、制度化しているところです。苦しいときほど活動し、自己達成意識を持てることが大事で、若年層に仕事を任せることです。

長田:時代の動きが早い今、この2年間は「心を一つにして景色を変えていこう」と目標を立てて、セクションを超え、朝30分間のミーティングを行っています。一つの製品を生み出すとき、多分野の専門職の思考が入ることでいい製品になります。社員には小さな成功体験を積み重ねていけるようにしています。

川中:社員の幸せを願って創業しました。ただ、若い人に損得勘定で接すると、すぐ見破られてしまいます。社員に本当のパートナーになってもらうには、経営者はどうしたらいいのか、が問われています。就業規則は、会社を守るというよりは、社員さんの生活を守るための規則とし、将来、社員さんの夢が叶えられるように心掛けています。 ●最後にメッセージをお願いします。 桑原:既存の分野の中で創業するなら、➀深堀りする②ストーリー性をもって事業の周辺を洗い出してみる③付加価値をつける➃差別化ができる、などがポイントです。

長田:世の中にないものを創りだす、これが全てです。こんな田舎で、凄いものを創っているといわれるのが社員の誇りです。

川中:旧市民球場跡地のゲートパークを貸し切ると、広島市内で最大といえる2000人の規模の懇親会が可能になります。このような「これはウチしかできないんだ」という事業で社員の誇りを育んでいきたいです。

終了後には多くの質問が飛び交いました。村田さんからは、「社長としてしっかりとビジョンを語られていることが印象的で、また、若手に任せるなど、肩に背負っている覚悟があると感じました」と話して会を終えました。

次回のコミュニティイベントは、8月23日(水)、「どうする電力。再エネ活用のGX戦略~地場企業3社の取組から学ぶ~」をテーマに開催予定です。
次回のセミナーの詳細はこちら
  

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