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【開催報告】「環境配慮型のサッカースタジアムと
スナック製造工場の建設から学んで」
第3回セミナーを開催しました。
 企業間 交流を深めるコミュニティイベント(第3回)を7月5日、広島市中区のイノベーション・ハブ・ひろしまCampsで開催しました。今回は「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた‶未来の建物・工場〟を考える~新サッカースタジアムとカルビー新工場の実例を通じて~」がテーマ。登壇いただいた大成建設株式会社、カルビー株式会社の両社とも、建設中の建物・工場について、あまり公の場で話されたことがない貴重な内容を話していただきました。
 東洋シート株式会社、日立造船株式会社、広島ガス株式会社、丸善製薬株式会社、三島食品株式会社など27社の企業の皆さまに参加いただき、盛況のうちに終了しました。ご来場ありがとうございました。

【講演1】 大成建設株式会社 ■ テーマ :
サッカースタジアム等整備事業における環境配慮の取り組みと大成建設の環境分野への取り組みについて
■ 講 師 :
サステナビリティ経営推進本部 コミュニケーション室長 岩崎 広江 氏
 「大成建設の環境分野への取り組み」を紹介。「明治6年が創業で、土木と建築業による株式会社をつくった初の会社で、今年で創業から150周年を迎えます」と話され講演はスタート。近年の事業として、新国立競技場建設に携わられたことも紹介されました。
 環境分野への取組は、「TAISEI Green Target 2050」として持続可能な環境配慮型社会の実現の目標を2050年に掲げ、「脱炭素社会(CO2削減)」、「循環型社会(廃棄物の抑制)」、「自然共生社会(緑と共存)」の3つの枠組みで推進していることが伝えられました。具体的には、全国の工事現場が600ほどあり、そこも高効率な省電力の事務所にしているとのこと。これによりBELS第三者認証を取得していることが伝えられました。さらに工事現場ではCO2排出量の見える化のため、重機の入退場時における重量の計測、CO2をコンクリート内部に含むことができる原料を使うなどの例を話されました。
 また、大成ゼロカーボンビル(TZCB)として、「建物のライフサイクルを通じて、調達から施工、運用、建物の修繕、解体まで、建物の生涯を通じたCO2排出の実質ゼロを目指し、未来のカーボンニュートラルのあり方を研究し続けていきます」と、取組についても説明されました。

■ 講 師 :
設計本部 設計担当部長 伊藤 真樹 氏
 続いて、「サッカースタジアム等整備事業における環境配慮の取り組み」を紹介。「カーボンニュートラルを実現すべく、広島の新サッカースタジアムの設計を担当した」と話す伊藤さまは広島県出身。「広島市の中心街に近いスタジアムということで、賑わいの創出と、回遊性の向上を考えた」そうで、スタジアム周辺のペデストリアンデッキや公園広場を中心に、周辺の広島城や、旧市民球場跡地とのつながりを考えながらのパークPFIとして賑わいの拠点を目指しています。
 スタジアムは、観客席28,520席、建築面積約2万6,000平方㍍、地上7階建ての建物で鉄筋コンクリート鉄骨造の混構造。観客席からピッチまでわずか8㍍で、臨場感のあるプレーが楽しめるということです。
 外観で目を引く屋根は翼をイメージ。まさに、エディオンピースウイング広島という名称にふさわしいものです。135㍍の柱のない解放空間は、張弦梁構造により実現できたそうです。カーボンニュートラルや、環境に配慮したエコスタジアムを目指す上で、太陽光パネル設置、トイレの水への雨水利用、風の通り道まで計算し、自然エネルギーを最大限活用したものになっているとのこと。加えて、「スタジアムでは全国初といえるZEB(ゼロエネルギービルディング)レディ施設として、さまざまなエネルギー使用への対策をしています」と解説されました。
 工事の進捗は、「現在、屋根工事が進み、翼が見え始めております。秋から芝生が張られ、来年の2月開幕を目指して、12月には竣工を目指します」と話され、講演を終えました。

【講演2】 カルビー株式会社 ■ テーマ :
創業の地・広島での優れた環境性能を実現する最新鋭マザー工場の建設
■ 講 師 :
次世代生産プロジェクト技術開発部 シニアエキスパート 沖本 和幸 氏
 カルビーの誕生は1949年(昭和24年)松尾糧食工業を設立し、1955年にカルビー製菓、73年にカルビーに社名変更しました。「後世に残せる仕事をしたい」との創業の精神のもと研究を積み重ね、かっぱえびせん、ポテトチップスをはじめ、数々の大ヒット商品を生み出した会社です。
 「食品業界でスナック菓子袋包装に最初に製造日付を印字した会社であり、2030年に環境配慮型素材50%使用を目指しています」とメーカーとしての環境に関する取組などを説明されました。また、栃木県宇都宮市の清原工業団地で、キヤノン、久光製薬、カルビーの工場と東京ガスエンジニアリングソリューションズが連携して取り組んだスマートエネルギー事業についても紹介。この事業は2021年度省エネ大賞経済産業大臣賞を受賞しています。
 「2030年温室効果ガス総排出量30%削減(2019年3月期比)」を目標に、広島市において2024年12月より順次稼働開始を目指して、最新鋭の環境対策を施した「せとうち広島工場」が計画されています。ここでは「ポテトチップスの原料となるジャガイモをスライスした後、環境や人権に配慮して生産された『認証パーム油(マスバランス方式)』で揚げる生産工程において、残渣や焦げカスなど商品にならない部分、またジャガイモの水分までも回収して再利用し、原料をムダなく利用することを目指しています」と語られました。

講演で地元広島の建築物が環境配慮されていることを実感し、新スタジアムや地元を拠点とするスナック菓子工場の完成が待ち望まれる中、ワークショップでは自分の考える未来の工場について多くの意見が出されました。

次回のコミュニティイベントは、7月25日(火)、「新規事業創出に向けた組織づくり」をテーマに開催予定です。
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