【インド現地視察ツアーレポート：バンガロール編】市場14億人の解像度をあげ、事業設計へ — ターゲット顧客層の理解とネクストステップ

2025年9月、広島県主催の「令和７年度 広島県海外スタートアップ等連携実証プロジェクト」にて、インド市場のリアルを知る「インド市場現地視察ツアー」を実施しました。
デリーでの市場調査と戦略整理を経て、インドのイノベーションとITの中心地であるバンガロールへ移動しました。

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バンガロールは「インドのシリコンバレー」としても知られ、数多くの国内外の大手IT企業やグローバル企業のR&D拠点が集積する、技術革新の最前線です。インド経済の顔として急成長するこの地での活動では、巨大市場の正確な理解と、協業に向けた具体的なアクションプランの策定に焦点を当てました。

バンガロール初日は、本事業のインド現地パートナーであるNext Bharat Venturesとのセッションを行いました。

Next Bharat Venturesは、日本のスズキ株式会社のインドにおける100%出資の子会社です。インパクト志向のベンチャーキャピタル（VC）であり、インドの社会課題をビジネスで解決するスタートアップへの投資・育成を行っています。インドにおける社会課題をビジネスの力で解決することを目的に、ファンドを通じて農業、金融包摂、サプライチェーン、モビリティの分野で活動するインパクト起業家の支援を展開しています。CEOのVipul Jindal氏は、日本のスズキ本社での経験を活かし、日印間のイノベーションと協業にも深い知見を持っています。
セッションでは、インド人口”14億人”を、所得水準や消費行動によって「India 1」「India 2」「India 3」に分解し、市場を理解するためのレクチャーが行われました。

・India 1： 高い購買力を持つ富裕層・都市部の消費者層
・India 2： 都市部のインフォーマル経済に属する層
・India 3： 農村経済に属する層

14億人という巨大なマーケットを持つインドですが、エリアごとの特色や流通の手段も多様化しており、参入にあたっては明確なターゲット層を選定することが不可欠となります。本レクチャーは、インド市場へのマーケットインを検討する上で、自社のサービスがどのターゲット層にフィットしているのかについて深く考察するきっかけとなりました。
セッションの後半では、参加企業3社によるプレゼンテーションを実施。インド市場進出におけるこれまでのリサーチ、現在の課題、今後取るべきアクションについての発表を行いました。各社の発表に対し、Next Bharat VenturesのCEOおよび投資チームによる市場感に関するコメントとフィードバックの共有、また、各社のニーズに合致する協業候補スタートアップ等の追加検討を行いました。
フィードバックでは、市場戦略的な側面から、インド生活を知るためのカジュアルな意見交換まで実施。消費スタイルの一つとして、アプリでの注文からわずか10分程度で配達される「クイックコマース」に関する紹介もありました。都市部での消費者の利便性が求められた結果、日用品だけではなく電化製品など日常に必要なアイテムが非常に短い時間で届けられるクイックコマースに、参加者からは驚きの声が上がっていました。
このセッションを通じて、これまでに得た情報を具体的な事業戦略へと落とし込む上でのネクストアクションを改めて整理することにつながりました。

バンガロールにおいても個別の協業候補企業との打ち合わせを実施しました。
デリーで得た市場インサイトや専門家からのフィードバックを盛り込み、より具体的なディスカッションに繋げました。
環境・エネルギーというテーマをはじめとした多くの課題が残り、新たなイノベーションが求められるオールドデリー。そして、世界最先端の技術が集積するバンガロールまで。
インドの持つ課題と機会、そして急速なイノベーションの幅広い側面に触れた今回のツアーは、単なる視察に留まらず、参加企業が現地パートナーと共に事業を創出するための基盤づくりに欠かせない機会となりました。

本プログラムも折り返し地点となり、次のステップに向けた中間報告会を開催いたします。これまでの取り組みを振り返る参加企業からのプレゼンテーションに加え、広島から海外進出を実施されているケース紹介として、「海外をフィールドに広島をさらに盛り上げる」をテーマにトークセッションも開催予定です。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。