2025年10月14日

【インド現地視察ツアーレポート:デリー編】インド進出に向けたインサイト収集と市場理解

2025年9月、広島県主催の「令和7年度 広島県海外スタートアップ等連携実証プロジェクト」にて、インド市場のリアルを知る「インド市場現地視察ツアー」を実施しました。
8日間にわたる全行程では、前半を首都デリー、後半をバンガロールとして2都市を訪問しました。ツアーに参加した採択企業である3社は、今回の渡航を前にインド展開に向けた市場調査・仮説立て・コンセプト設計を行い、インド現地の協業候補企業とのオンライン商談を実施しました。
今回の渡航では、事前に行った協業候補企業との対面ミーティングを中心に行いながら、インド市場の理解をさらに深めるインド現地パートナーとのセッション、視察などを行いました。合計20社との商談・セッション等を経て、帰国後の現在は協業に向けたPoCの設計を行っています。
今回は、そんなインド視察ツアーより、デリー滞在中の様子をお届けします!
開催時期 2025年8月31日~9月7日
訪問都市 デリー、バンガロール(2拠点)
参加企業 三工電機株式会社、中外テクノス株式会社、野村乳業株式会社(50音順)

Day 1:現地インサイト、インドの「今」に触れる

ツアー初日は、インド市場の「今」を知るため、金融機関・環境エネルギー分野での先進的な取り組みを行うスタートアップ・そして伝統的な市場視察等、多方面からのインプットからスタートしました。

1. 本質的な市場リサーチのヒントを学ぶ / ICICI Bank

まず、インド最大の市中銀行の一つであるICICI Bankを訪問し、これまでに進めてきたインド市場調査について壁打ちセッションを実施しました。ICICI Bankからはノースサウスインディアヘッド、ジャパンヘッド、リサーチチームにご参加いただき、各社のインド展開の目的、目指すゴール、具体的な懸念点についてディスカッションを行い、フィードバックを得ました。産業ごとの市場概況やトレンドに関する深い知見を持つICICI Bankとのセッションを初日に実施することにより、参加企業にとって、この後の視察や商談で見極めたいこと・目的を改めて整理し、ネクストアクションをアップデートすることに繋がりました。

2. 環境・エネルギー分野の最前線とは?/ Prana Air

続いて、本プログラムの主要テーマである「環境・エネルギー分野」における最前線の取り組みを深く理解するため、デリーを拠点とするスタートアップ「Prana Air」を訪問しました。デリー首都圏の大気汚染は、世界でもワースト上位に挙げられます。その結果、深刻な健康被害や健康寿命への影響が懸念されています。同社は、「より健康的な空気を提供し、正確な空気質データによって個人・企業・政府をエンパワーする」を使命とし、空気質モニタリングデバイスとクリーンエアソリューションを提供するインド発スタートアップです。リアルタイム空気質データを観測できる「AQI.IN プラットフォーム」も提供しながら、クリーンエアの重要性・インドの大気汚染への認知を高めるためのメッセージを発信し続けています。彼らが提供する製品の紹介、製造現場の視察を実施しながら、同社のCEO Rohit Bansal氏より、インド特有の環境課題と市場概況、そして事業アプローチについて直接レクチャーを受け、環境エネルギー分野における課題と今後の取り組みに向けたインスピレーションを得る機会となりました。

3. インド社会の消費のリアルに触れる / Chandni Chowk視察

今回の視察プログラムには、具体的な協業に向けた商談はもちろん、インド社会と消費者の選択を肌で感じるためのコンテンツも組み込まれています。初日は、デリーの伝統的な市場Chandni Chowk(チャンドニー・チョーク)を訪れました。庶民の台所として古くから現地の人に親しまれており、連日大きなにぎわいを見せます。現地の人々の消費行動や生活様式を深く理解し、ビジネス設計の土台となるインサイトを収集しました。

Day 2:協業の具体化に向けた対面商談の実施

2日目は、デリーを拠点とする協業候補企業・現地大学等との商談を実施しました。インド展開に向けた事業構想を共有しながら、各社との協業の可能性を探りました。
to C向けの展開を目指す参加企業は商品サンプルを持参し、互いに試飲も実施。いち消費者としてのリアルな声や、インド市場での製品の受容性について、貴重なフィードバックを得ることができました。 近い領域において協業の可能性を探る参加企業は、日印双方の規制の違いによってこれまで自国で取り組んできた実績や強みが異なるケースも多くありました。互いの強みを活かせるパートナーシップを模索するため、それぞれの得意分野や改善したい領域について率直な意見交換を行い、協働の具体的な方向性を探りました。
海洋分野での展開を目指す参加企業は、事前リサーチを踏まえて協業候補企業とのディスカッションを通じて現地政府の動向を確認。そのうえで、国内製造と現地生産体制の両面からインド市場におけるビジネスチャンスを学びました。また、現地人材の活用を視野に大学との連携機会についても検討しました。

Day 3:戦略の深掘り メンタリングセッション / Indobox株式会社

ツアー3日目は、デリーでの学びを整理し、後半のバンガロールに備えるため、日印ビジネスの先駆者であるIndobox株式会社の代表 丹治大佑氏とのセッションを実施しました。

専門家との個別相談で課題をクリアに
Indobox株式会社は、「日本とインドの融合により、新たな価値を生みだす」をミッションに、日本企業の進出支援や人材育成・活用を専門とする企業です。物やサービスだけではなく、日本とインドの間により多くの人の交流を生み出す取り組みを多数手掛けています。
今回のセッションでは、代表の丹治大佑氏より「成長を続けるインド市場の魅力と進出時のリアルな課題」について具体的な事例に基づくプレゼンテーションを発表いただき、市場エントリーで必要なプロセスや、各展開フェーズで直面する可能性がある課題についての理解を深めました。
基本情報を学んだ後は、インド滞在中に抱いた具体的な疑問点や、協業の方向性に関する個別相談会を実施。現地企業との英語でのディスカッションが続く中、プロフェッショナルなメンターに母国語で相談する機会を持つことで、より深い議論を行うことができます。
相談会では、必要となる関係者の整理、インド現地人材の活用、インド人とビジネスを行う上での特徴、マインドセットまで。各社それぞれの課題を棚卸ししながら、インド市場におけるビジネス設計の全体像を掴む機会となりました。
次回の【バンガロール編】では、イノベーションの中心地バンガロールでの活動、そして現地パートナーNext Bharatとのセッションの様子をお届けします!
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