2026年3月27日

【開催報告】海外展開の「勝ち筋」を掴む! — DEMODAY 2026 開催。リソース不足を乗り越える「生存戦略」の最適解とは

開催日時 2026年2月27日(金)14:00~17:00
会場 広島YMCA国際文化センター 3号館 2階 多目的ホール
プログラム 令和7年度 広島県海外スタートアップ等連携実証プロジェクト
令和7年度の本プログラムも終盤に差し掛かった2月27日(金)、プログラムの集大成として、インドの環境・エネルギー問題の解決に取り組んだ採択企業3社による最終成果発表およびトークセッションを行う「DEMODAY 2026」を開催しました。
本イベントのテーマは、「生存戦略としての海外展開」です。人口減少による国内市場の停滞や、慢性的なリソース不足といった課題に直面する中、地域企業がいかにしてグローバル市場への突破口を見出すべきか。
本年度、インド市場という巨大なフィールドに挑んだ3社のリアルな軌跡と、海外展開に取り組むゲストを交えた本質的な議論を通じて、”次世代の海外展開の在り方”を考える場となりました。 冒頭、主催である広島県からの開催挨拶・そして事務局からのプログラム紹介からスタート。
本年度のハンズオン支援の内容が紹介されました。
7月に実施されたキックオフから、現地パートナー候補との「マッチング支援」、さらにはインド現地ツアー、毎月実施した事務局メンタリングなど、単独では難しい海外展開を、採択企業・広島県と事務局が一体となって切り拓いてきたプロセスが共有されました。

PROGRAM SHOWCASE — 採択社3社による成果発表

「PROGRAM SHOWCASE」では、採択企業3社が登壇。本プログラムでの取り組み、インド現地での市場調査・現地商談の成果、そして協業候補企業との進捗について語られました。

1. 中外テクノス株式会社 - エネルギー監査/GHG事業・インフラ点検技術のインド展開

環境調査・分析のプロフェッショナルである同社は、本プログラム期間中に2事業へチャレンジ。
一つ目のインフラ点検事業に取り組んだ環境・エネルギー分野における課題背景として、インド国内での架橋・トンネル等が崩れる事故が発生していることがあります。現地で不足している「予防保全」の概念と「高精度な点検技術」を導入することで、インフラの安全性確保と重大事故の未然防止を防ぐことを目指します。
また、点検時にドローンを活用することで、従来必要とされた大型重機投入や移動に伴うCO2排出を削減するソリューションの提供にも繋がります。
インド現地スタートアップである協業企業との現地デモを成功させ、ドローンを活用したインフラのひび割れ解析のインド展開を進めています。事業推進をされてきた森本氏は「できないことはできないと率直に話せるパートナーであったため、信頼できると感じた」と話し、文化・言語の違いがある中でのパートナー企業の選定ポイントについて共有する場面も。現在は、お互いの知見やビジネスの強みを活かし、事業連携に向けたMOUを締結予定です。

同社が取り組むもう一つの事業「エネルギー監査・GHG事業」では、GHG事業に焦点を当てGHG算定ツールの開発を行うバンガロールのスタートアップとの取り組みを開始しました。
この事業に取り組む背景として、インド国内の事業者において、GHG排出量の算定・削減計画への対応が求められています。
推計値ではなく実際の施設データに基づいた正確な排出量測定とモニタリングを可能にすることで、産業界の脱炭素化に実効性を持たせることに繋がります。スタートアップとの取り組みを通じて、中外テクノスの知見共有とデモ実施のサポートを行いながら、既存のソフトウェアの他セクターへの展開を目指します。
インドの急激な経済成長に伴うインフラ老朽化課題に対し、日本の技術を活かし、広島からインド市場へ挑戦、将来的には同じ座組で違う国への参入を目指しています。

2. 三工電機株式会社 - 技術の「SOP」化により、インド造船市場の生産性を革新

同社がこの事業に取り組む背景として、インドにおける製造現場の課題が挙げられます。
インドでは造船力として製造強化を目指しているものの、依然として旧来の製造手法が主流であり、設計・組立工程の効率化が急務となっています。
インド国内のサプライヤーの品質も発展途上であり、3倍のリードタイムがかかるという事実からも製造における省エネ・高効率の製品開発が求められている現状です。
造船業界のリードタイムが日本の3倍以上かかるというインドのボトルネックに対し、同社は熟練技術が成す安心・安全・短納期といった製造の仕組みをSOP(標準作業手順書)として体系化し、インド市場への参入を目指します。

「製品」ではなく製造仕組みそのものへの需要の確認を進めながら、約30%のリードタイム削減可能性について着目しています。
事業を推進されてきた川原氏は、「海外進出とは単なる市場開拓ではなく、自社の存在意義を根底から問い直す機会になった」と、経営的視点での大きな収穫を語りました。
2029年のインド製造ラインに向けて、日本でのSOP開発を進めながら、協業候補企業との連携合意・及びSOPを活用した共同PoC実施へ進めます。

3. 野村乳業株式会社 - 独自技術「NSP」を活用し、腸活分野でインド市場に挑戦

腸活専門メーカーである同社は、善玉菌(プロバイオティクス)を増やす増殖剤「NSP」を用いたPMF検証の結果を報告。
NSPを活用し、増えにくいとされる善玉菌を飛躍的に増やすという同社の独自性の高い提案は、インド企業にも非常にわかりやすく、協業に向けて多くの声がかかっています。
この事業に取り組む背景として、インドにおける食糧生産における環境負荷軽減の課題が挙げられます。
インド政府は2070年までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げており、持続可能な発展・気候変動への対策の観点から、農業分野においても環境負荷低減に向けた動きが加速しています。

まずはインド国内の企業とともにインド市場参入を目指しながら、将来的にはNSPを活用し、酪農由来製品よりも環境負荷(温室効果ガス・水使用量)が低い植物性ミルク(プラントベース)製品の普及を視野に入れ、持続可能な食糧供給に寄与することを目指しています。
事業担当である山川氏は、急成長するインド市場において、日本クオリティの高品質プロバイオティクス事業を成功させたいと語りました。

SPECIAL TALK SESSION — 「リソース不足・不確実性の時代における、生存戦略としての海外展開」

後半は、TOPPANデジタル株式会社の佐藤 直紀 氏をゲストに迎え、モデレーターのフォースタートアップス 加留と共に「生存戦略としての海外展開」についてトークセッションを実施しました。

「海外展開=余裕のある企業」という誤解を解く

佐藤氏は、TOPPANデジタル(株)のアフリカ事業開発室にて、TOPPAN Rwanda(旧JONGOROGOSEI)の買収・PMI、デジタルBPO拡大、新規事業(バイオ炭カーボンクレジット、衛星土壌分析×農業、防災ZETA等)の実証を推進しています。
アフリカ(ルワンダ・タンザニア)での事業立ち上げ経験を紹介しながら、「海外展開は余裕があるからやるのではなく、未来を創るための現実的な生存戦略である」と語りました。

不確実性を乗りこなす「泥臭い現場力」と「社内合意」のヒント

「まず現地へ行くことで、仮説の精度を上げる」という現場主義の哲学に加え、地域企業が直面することの多い「社内合意形成」に向けたリアルな対応についてもディスカッションが行われました。参加者からは経営層や意思決定者の巻き込みについて質問が上がる場面も。

・撤退基準の明確化:10年の長期スパンを見据えつつ、3ヶ月ごとのモニタリングと数値に基づく撤退ルールを設けることで、経営層の納得と承認を勝ち取る。

・意思決定者の巻き込み:実際に役員を現地へ連れて行き、現地の熱量を肌で感じさせることが最大の近道であるというアドバイスも。実際に、副社長を現地に連れていくことが、社内での推進・合意形成において重要であったエピソードも語られました。

ネットワーキング — 広島から世界へ、繋がりが創る次のアクション

イベントの締めくくりとして行われたネットワーキングでは、登壇した採択企業やパネリストを囲み、広島から海外展開を目指す、多くの繋がりが生まれていました。
「SHOWCASE」で発表された具体的な成功事例と、「トークセッション」で示された戦略的な視点が組み合わさり、自社におけるアクションへの相談が生まれるシーンもありました。

今回の「DEMODAY 2026」を通じた強いメッセージの一つは、海外展開には余裕があるから取り組むのではなく、生存戦略として、リソースが限られているからこそあえて取り組むべきものであること。
広島県主催の本プログラムのほか、補助金や公的な支援機関など、活用できるリソースは多く準備されています。
このようなプログラムをうまく活用しながら、広島からの挑戦がさらに盛り上がるよう、そして広島の優れた技術を活かした海外展開事例が生まれるよう、今後も取り組みを続けてまいります。

3月19日号_広島経済レポート

本プログラムについて、広島経済レポート様に取材いただきました。インド市場に挑む県内企業紹介として、3社の取り組みもご紹介いただいております。インド市場展開にご興味のある企業さまは、ぜひお手に取ってご覧くださいませ。 https://hk-report.com/
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