本イベントは、国内外における環境・エネルギー分野の最新動向や政策トレンドを共有するとともに、そうした大きな潮流の中で、県内企業がどのように新規事業へ挑戦し、成長機会へとつなげていくかを考える機会として開催されました。
世界的に脱炭素やGX(グリーントランスフォーメーション)の動きが加速する中で、環境対応は単なるコストではなく、企業競争力や新たなビジネス創出につながる重要な経営テーマとなっています。本セミナーでは、政策・制度の最新動向、グローバル企業の取り組み、そして県内企業による実践事例を通じて、参加者が自社の事業や今後の挑戦を考えるためのヒントを得ることを目的としました。
第1部では、一般社団法人 Green innovation 代表理事の菅原 聡氏より、世界および日本における環境・エネルギー政策の最新動向と、それが今後の企業経営や事業戦略に与える影響について講演が行われました。
講演では、気候変動対策が「環境対応」にとどまらず、エネルギー安全保障や経済成長と一体となった国家戦略へと進化している点が強調されました。特に、日本においては2026年度からのGX-ETS(排出量取引制度)義務化や、GX経済移行債を活用した大規模な官民投資など、制度面での転換点を迎えていることが示されました。
また、AI・データセンター需要の急拡大により電力需要が大幅に増加する中で、再生可能エネルギー、原子力、水素・アンモニアといった多様な脱炭素電源を組み合わせた現実的なエネルギー戦略の重要性が語られました。
脱炭素はコストではなく、中長期的な競争力や新たな市場機会を生み出す投資であるというメッセージは、多くの参加企業にとって今後の事業戦略を考える上での重要な示唆となりました。
一般社団法人 Green innovation 代表理事 菅原 聡氏
第2部では、広島アルミニウム工業株式会社 取締役 常務執行役員の田島 佑紀氏が登壇し、県内企業としての新規事業への挑戦や、脱炭素・環境分野を切り口とした事業展開について紹介が行われました。
発表では、既存事業の延長線上ではなく、自社の強みや技術を起点に、社会課題や市場ニーズとどのように結びつけていくかという視点が共有されました。また、新規事業を進める過程で直面する課題や、社内外の関係者を巻き込みながら進める難しさについても率直に語られました。
こうした実体験に基づく話を通じて、参加者にとっては「理論」だけでなく、県内企業が実際にどのように一歩を踏み出し、試行錯誤しているのかを具体的にイメージできる機会となりました。
今後、企業同士や支援機関、専門人材との連携を通じた共創の可能性についても示唆があり、地域全体での新たな挑戦につながる内容となりました。
広島アルミニウム工業株式会社 取締役 常務執行役員 田島 佑紀氏
第3部では、ボッシュ株式会社 新規事業開発部 兼 ボッシュビジネスイノベーションズジャパン 部長の山本 翔氏が登壇し、グローバル企業におけるイノベーション活動や、新規事業創出の考え方について講演が行われました。
講演では、ボッシュにおける新規事業の位置づけや、既存事業と新規事業をどのように両立させているのかといった組織的な工夫が紹介されました。また、グローバル視点で市場や技術の変化を捉えながら、小さな実証や検証を積み重ねて事業化につなげていくプロセスについて具体的な事例を交えて説明がありました。
特に、新規事業においては完璧な計画を立てることよりも、仮説検証を高速で回し、学びを次に活かしていく姿勢が重要であることが強調されました。
参加者にとっては、大企業の事例でありながらも、自社の規模やフェーズに置き換えて考えられるヒントが多く、今後の新規事業創出に向けた視野を広げるセッションとなりました。
ボッシュ株式会社 新規事業開発部 兼 ボッシュビジネスイノベーションズジャパン
部長 山本 翔氏
本オープンセミナーは、環境・エネルギー分野を取り巻く国内外の大きな政策・市場動向を俯瞰するとともに、そうした潮流の中で企業がどのように新規事業へ挑戦し、成長機会として捉えていくかを多角的に考える場となりました。
第1部では、世界的な脱炭素・GXの流れが、単なる環境対応ではなく、エネルギー安全保障や経済成長と一体となった「国家戦略」へと進化していることが示されました。
制度や政策の変化は、企業にとって制約条件である一方で、新たな市場や投資機会を生み出す起点にもなり得ることが共有され、参加者にとっては自社の事業環境を中長期的な視点で捉え直す機会となりました。
続く第2部では、県内企業による実践的な取り組みが紹介され、政策や理論だけでは見えにくい、現場ならではの試行錯誤や意思決定のプロセスが語られました。
新規事業は一足飛びに成果が出るものではなく、仮説検証を重ねながら前進していくものであること、そしてその過程そのものに価値があることが、具体的な事例を通じて共有されました。
第3部では、グローバル企業の視点から、新規事業創出やイノベーションを継続的に生み出すための考え方や組織のあり方が示されました。
規模や業種は異なっても、小さく試し、学びを積み重ねていく姿勢や、変化を前提とした事業づくりの重要性は、県内企業にとっても十分に応用可能な示唆を含む内容となりました。
本セミナーを通じて、参加者に共通して見られたのは、「環境・GXは特別なテーマではなく、自社の事業戦略そのものと深く結びついている」という認識の広がりです。単なる情報収集の場にとどまらず、自社に引き寄せて考え、次の一歩を具体的に想像するきっかけとなった点に、本イベントの大きな意義がありました。
今後もSCRUM HIROSHIMAでは、こうした学びや対話の場を通じて、企業同士、企業と専門家、そして行政が相互に刺激し合いながら、新たな挑戦が生まれ続ける環境づくりを目指していきます。本セミナーで得られた気づきやつながりが、次の具体的な行動、そして地域発の新たな事業創出へとつながっていくことが期待されます。
本セミナーは、広島県およびひろしま環境ビジネス推進協議会が推進する「SCRUM HIROSHIMA」事業の一環として実施されました。
次回は、2026年3月10日(火)13:00~17:00に「令和7年度ひろしま環境ビジネス推進協議会新規事業創出プログラム DEMO DAY」を開催予定です。
今回参加された方だけでなく、「これからやってみたい」「他社と共創してみたい」という企業の皆さまのご参加も歓迎しています。SCRUM HIROSHIMAでは、引き続き地域企業の新しい挑戦を後押しするプログラムを展開してまいります。
広島県が2012年4月に設立した協議会です。企業間連携の活発化や海外展開の促進等を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するビジネスをグローバルに展開できる企業群を育成することを目的としています。
協議会の活動の一環で取り組むコミュニティー組織 「SCRUM HIROSHIMA」では、多様なステークホルダーがつながり、新たなビジネスの可能性を探索いただく場として、定期的なセミナーや、交流イベントを開催します。